2008年10月20日

利用者不在型マーケティングの末路

日経ビジネスに掲載されている「敗軍の将、兵を語る」のコーナーで、オーマイニュース前社長(元編集長でもある)元木氏の「市民メディア、収益化できず」というインタビューが掲載されていた。

最近、似たような記事を読んだ記憶があるなぁ...と思い、いろんなサイトをザッピングしながら探していたら、同じ日経BPのサイトに見つけた。「CNNの市民ジャーナリズム・サイト「iReport」の大失態:瀬口範子「シリコンバレー通信」」というコラム。

前者は、韓国では自由な報道が制限されている(ように思える)という特殊要因から市民にジャーナリズムの意識が高まり、大統領選にまで大きな影響を与えるまでに成長したシステムを、鳴り物入りで日本に導入し、一気に根付かせようとしたが国民性の違いや経営力の欠如等の問題が重なり、現状では当初考えていたビジネスモデルのまま続けていくことを断念せざるを得ない状況に陥ってしまったと悔やんでいる。

そして後者では、市民に開かれた新しいジャーナリズムを自ら先頭に立って実現させていくというイメージだけが欲しかったCNNが、市民ジャーナリストの発信する真贋がはっきりしない記事に対する「杜撰な管理」と、本当に大事にしなければいけないはずの読者が受ける可能性のある「誤解」を事前に警告していなかったことから生まれた大失態について述べている。

奇しくも、日米で同じような市民参加型のジャーナリズムというもののあり方についての記事が続いている中、瀬口さんも書かれているように「市民ジャーナリズムは信用ならない。根こそぎ廃絶すべき。」という一足飛びの議論にならないようにすべきである。

オーマイニュースとCNNの失敗は、市民ジャーナリズムの成熟さ云々というところに根ざしているのではなく、記者を含めた利用者不在のプロダクトアウト型のマーケティングを行ってしまったことに原因があるのではないだろうか。

良いものを作って出せば売れるというプロダクトアウトの考え方を全面否定するつもりはないが、単純に「あっちで良かったから、こっちでもやろう」という安易な導入(あるいはヘタクソなプロダクトアウト)の仕方ではマーケットに受け入れられる可能性は低く、下手な鉄砲になりかねない。
利用者(お客様)はどのくらいの規模存在して、なにを望んでいるのか? はたして今回考えているサービスはそこにフィットするのか? そう言った利用者の立場に立ったモノ(サービス)作りがされていないことに一番の原因があると思われる。

近頃騒がれている携帯サイトやSNSの健全性の議論にも似た、利用者不在の考え方を改めない限り、自然発生型ではない形で新しいサービスを作り出していくことはとても難しくなってくる。

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